入金消込が毎月終わらない会社に、共通していること

合わない原因は5つしかありません。振込名義、一部入金、合算、手数料、相殺。担当者の記憶で吸収している状態から抜けるための手順です。

約3分経理売掛金バックオフィス

月初の数日が、毎月そのために潰れている。担当者が休むと止まる。 入金消込は、中小企業のバックオフィスでいちばん時間を食う作業です。

そして厄介なことに、忙しい会社ほど遅れます。

合わない原因は5つしかない

相談を並べていくと、原因はこの5つに収まります。

原因 何が起きるか
振込名義が請求先と違う 親会社名義、代表者の個人名義、屋号。通帳の文字列から会社を特定できない
一部入金 100万円の請求に対して60万円。残りは翌月か、値引きの合意があったのか
合算入金 3件の請求がまとめて1本で振り込まれる。内訳が書いていない
振込手数料 440円引かれて着金。請求どおりでないので、自動照合から漏れる
相殺 買掛と差し引いて振り込まれる。差し引いた根拠はどこにも書かれていない

どれも「例外」ですが、例外のほうが手間の大半を占めます。 そのまま合うものは最初から合っていて、残った例外だけが手元に積まれるからです。

本当の問題は、記憶で吸収していること

慣れた経理担当は、これを全部知っています。

「〇〇商事は、いつも代表者の個人名義で振り込んでくる」 「△△建設は、手数料をこちら負担で引いてくる」 「□□工業は、必ず翌月にまとめて2件ぶん」

この知識は、どこにも書かれていません。頭の中にあります。 だから、その人が休むと止まり、辞めると引き継げません。

新しい人が入ると「なぜこの入金がこの請求に当たるのか」を、 毎回ゼロから調べ直すことになります。引き継ぎに半年かかる正体はここです。

今日からできること

道具を買う前に効くものが3つあります。

1. 振込名義の対応表を作る

迷う相手は、毎月同じです。通帳に出る文字列と、請求先の対応表を1枚作ってください。

カ)タナカコウムテン    →  田中工務店(株)
タナカ ジロウ          →  田中工務店(株)代表者名義
マルマルシヨウジ(カ   →  〇〇商事(株)

これだけで、迷う時間の多くが消えます。属人化も、この1枚から崩れます。

2. 振込手数料の扱いを、先に決めて紙にする

「どちら負担か」を取引ごとに毎回考えているなら、そこが遅さの一因です。 取引条件として先に決め、請求書にも明記する。 決まっていれば、440円の差額は例外ではなくなります。

3. 請求番号を、最後まで通す

見積・請求・入金の問い合わせで、同じ番号が使われていない会社はかなりあります。 番号が通っていれば、社内の確認も取引先とのやりとりも一気に短くなります。

それでも人手が限界になる線

上の3つをやっても残るのは、データが別々の場所にあることから来る手間です。

請求の情報   Excel(担当者のPC)
入金の情報   ネットバンキングの画面
消込の結果   別の Excel
仕訳         会計ソフト

同じ金額を、3回も4回も打っています。 1回でも打ち間違えれば、合わない原因が1つ増え、その原因を探すのにまた時間がかかる。

月の請求件数が100件を超えたあたりから、この形は苦しくなります。 そして苦しくなり方は決まっていて、まず督促が止まります。 消込が終わらないので、誰が未入金なのか分からず、催促できない。 そのあいだ、売掛金は寝たままになります。

「早く終わらせる」より「毎日少しずつ」

月初にまとめてやるから終わらない、という面もあります。 入金データを毎日取り込んで、その日の消込をその日にやる形にすると、 1日あたり10分で済むようになります。

これができる条件は1つだけです。請求のデータと入金のデータが、同じ場所にあること。

  • 銀行のデータを取り込める
  • 請求の一覧と突き合わせて、候補を出せる
  • 例外(一部入金・合算・手数料)を、記録として残せる
  • 消込の結果から、そのまま督促と仕訳に進める

ここまで揃うと、頭の中にあった知識が、仕組みの中に移ります。 移ってしまえば、休んでも止まりません。

まず数えてみる

判断のために必要な数字は3つだけです。

月あたりの入金件数
そのうち、そのままでは合わない件数(例外の割合)
消込に使っている時間(人数 × 時間)

例外が2割を超えていて、月に10時間以上かかっているなら、 その時間は、人を増やすのではなく、持ち方を変えることで減ります。

よくある質問

入金消込に時間がかかるのは、件数が多いからですか?

件数よりも、例外の多さが効きます。振込名義が請求先と違う、複数の請求がまとめて振り込まれる、手数料が引かれている、といった例外は1件あたり数分から数十分かかります。件数が同じでも、例外の割合が高い会社ほど終わりません。

会計ソフトを入れれば解決しますか?

会計ソフトは仕訳を作るところが仕事なので、どの請求に対する入金かを決める作業は残ります。請求のデータと入金のデータが同じ場所にあって、突き合わせた結果が残る形になっていないと、照合そのものは楽になりません。

担当者が1人しかいません。何から始めればいいですか?

振込名義と請求先が違う取引先の一覧を作ることからです。毎月同じ相手で迷っているはずなので、その対応表を作るだけで、迷う時間の多くが消えます。属人化を減らす効果もあります。

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